「スタタン」ラストシーンにエンドレスが詰まり過ぎてる話
皆様、2017年8月に公開された映画「関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生」通称「スタタン」は好きですか?好きですよね。私もです。
ラッキーな事に大吾くんのお陰で、これまで沢山のドラマ映画舞台に触れる機会がありました。ありがたや。
その中でもかなり、かなり上位に食い込んで好きなのがこの映画でございます。
コックを夢見て出征していった2014年冬以来に、ボロボロボロボロボロボロ涙を流しながら見た作品です。
さて本題。この映画のラストシーン。
正確には、エンドレスが旅館での漫才を終えた直後の、あのシーンです。
この「旅館での漫才」のスタンバイ中に、稲毛はおよそ10年連れ添った相方高浜に告げます
「このネタが終わったら話したい事がある。」
このネタが終わったら稲毛が話したいこと。
この映画を知らない人が見たって明らかです。そう解散です。
この漫才シーンが一番大事なところではあるのですが、語り出すと止まらないのでここでは省略。
今回語りたいのは、その漫才を終えた後。
稲毛が話したいことを、話さないといけない時が来てしまいました。
高浜「そういや、話ある言うてたやろ。」
稲毛「あ、せやな。……あんな?」
高浜「あっちょっと待った!!…俺からや。」
高浜「稲毛、俺な、…お前とずっとお笑いやっていきたい。……お願いします。」
舞台から一段下に降りて頭を下げる高浜を見て、稲毛は言います。
稲毛「俺の話とおんなじや。こちらこそ、お願いします。」
そして稲毛も同じく舞台から降り、高浜に頭を下げます。
この後、2人ともちょっと照れくさそうに笑い合いながら足を崩し、ここからエンドレスは再出発です。とっても良いシーン。
はい少し説明に熱くなりすぎました。今度こそ本題です。
私はこのシーンに、高浜と稲毛の人物像が詰まっていると思うのです。
映画を見た方なら分かると思いますが、まず高浜はお笑いの才能はあるけれど、とっても不器用で1つの事しか考えられない人。
そして売れない事、同期に先を越された事をすごくコンプレックスに感じている。
だから売れたいという気持ちが大きくなりすぎて、そもそも何でお笑い芸人を目指したのかを忘れてしまうんですよね。
稲毛は高浜と真逆でとにかく優しい。優しくて、自分に自信が無い。
相方の才能を誰よりも知っているからこそ、自分と組んでいるせいで売れないのではないかと苦しむ。
才能ある相方だけでも売れさせてあげたい、だから解散しよう。それをなかなか切り出すことが出来ない。
高浜は売れたい事しか見えてないから、相方がまさかそんな事を考えてるなんて知らない。気付け。
相方だって当然自分と同じ考えで、何がなんでも売れたいに決まってる、と思っている。気付け。
なんやかんやあり、稲毛が解散を考えていることは高浜の耳に入ります。自分で気付け。
はいそれを踏まえて。まず最初の高浜。
「そういや、話ある言うてたやろ」
ここでいよいよ解散を切り出されることを高浜は覚悟しています。
稲毛「あ、せやな。…あんな?」
高浜「あっちょっと待った! 俺からや。」
はい出た高浜。そういう所だ。
またそうやって遮る。稲毛がやっと切り出そうとしているだろ。そういう所だよ。
そして続ける
「俺な、お前とずっと漫才やっていきたい。お願いします。」
一応ですがこの男、稲毛が解散考えてると聞かされる瞬間までは、ずーーーーっと売れたい話しかしてませんでした。
あれだけ売れたいと思っていたのに、相方の気持ちが見えなくなるくらい、売れる事に執着していたのに。
相方を失うかもしれないと知った瞬間からは売れたい話を一切しなくなります。というか考えられなくなります。そしてやっと初心を思い出します。
例え客席に1人しか居なくたって、その人が笑って幸せになってくれること。
親友である稲毛と、その1人を全力で笑わせたい。だから芸人になったんだったと。
その為にはエンドレスは解散してはいけない、じゃあどうすれば良いか?それしか考えられなくなるんです。
2つの事を同時に考えられない不器用な高浜。まったく困った奴だ。
そんなスーパー不器用相方大好き芸人っぷりが詰まったシーンでした。
続いて稲毛。高浜による超絶自分勝手なプロポーズを受けてこう言います。
稲毛「俺の話とおんなじや。こちらこそ、お願いします。」
俺の話とおんなじな訳が無いんです。そんな事は誰にだって分かります。流石の高浜にだって分かったはずです。
稲毛はここで解散を切り出すつもりだった。少なくとも漫才スタンバイ中に「このネタが終わったら話したい事がある」と高浜に言った時点では絶対に。
稲毛はあの漫才の途中で考え直したのか、それとも今、高浜に頭を下げられた瞬間に考え直したのか、それは視聴者である私たちにすら教えてくれません。
何で解散したいと思ったのか、どのタイミングで考え直したのか、言ったって良かったはずです。
むしろ高浜はそれを知っておかなければならないはずです。
でも稲毛はそんな話を一切しません。「俺の話とおんなじや。こちらこそ、お願いします」
そう言って頭を下げるだけ。
泣けるくらい分かりやすくて、優しい優しい嘘。やっぱり良い奴だよ稲毛。
そんな、人の気持ちが分かって優しい稲毛だから、売れたい事しか見えずに突っ走る相方を否定することが出来ないし、初心に返れって怒ることも出来ない。
だって高浜がどれだけ本気でお笑いをやってきたかを知っているから。
相方だけでも売れさせてあげたい。じゃあどうすれば良いか。自分が身を引くこと。
肝心の高浜には、相方のせいで売れないなんて考えは頭の片隅にもないというのに。稲毛も全く困った奴。
そんな気が弱くて優しい稲毛が詰まった数秒間だったと思います。
このシーンについて語りたい事は以上です。勝手に長々と、どうもすみまセンター分け。
ここから再出発したエンドレスはどうなるんでしょう?
無事売れることが出来るのか、やっぱり売れなくて解散してしまうのか。
もし解散したとしたって、この旅館での出来事が高浜と稲毛を作っていくのだと思う。そうであってくれ。
はい。ここまでは全て前フリです。長々とどうもすみまセンター分け。
今度こそ、本当の本当に私が言いたかったこと。エンドレス尊い。